日立の古典アニーリングマシンについて
News & Trend - 日立製作所、D-Waveの量子コンピュータに対抗する新型コンピュータを試作:ITpro
省電力で最適化問題がとけるというのは興味深いが、
ここでいってるcmosアニーリングとは単なる古典アニーリングなので
とくに最適化問題を早く解くことができるものではないのではないか。
(記事中の写真のスライドを見る限り実現されてるのは
あくまで古典イジング模型。それに対して古典的なノイズを定期的に
いれてアニーリングしているように見える.)
この方法では結局極めて深い自由エネルギーの谷が存在するような
困難な最適化問題には手も足も出せないのではないかと思う.
(量子アニーリングでもても足も出ないのかもしれないが)
オススメ解説記事(随時追加中) :
西森先生のCMOSアニーリングに関するコメント:
西森先生のyoutubeの量子アニーリングに関する公演@google
聴衆にどんな人を期待してたのかわかりませんが物理の素養がないとかなり難しいと思う
日立のCMOS使った新型チップは面白いが、量子でもなんでもないし、すごくミスリーディング。そもそもd-waveのマシンは既存の計算機の1CPUに負けてるんだから(Troyer論文)それに勝っても意味ないし。"既存の"量子コンピュータ"は実用的な問題を解く上で優位性はない。
— Keisuke Fujii (@fgksk) 2015, 2月 24
[1304.4595] Quantum annealing with more than one hundred qubits
もちろん日立のリリースには"擬似"量子コンピュータなんてトンデモワードは出てこず、「 量子アニーリングで解を求めていたイジングモデルの振る舞いを、半導体CMOS回路上で擬似的に再現する」という表現。つまり、「イジングモデルの振る舞いを再現」ですね。
— Keisuke Fujii (@fgksk) 2015, 2月 25
擬似量子コンピュータって何??量子モンテカルロならまだしも(これでも量子のための古典アルゴリズムだが)、古典のモンテカルロの並列化が定義ならXeon Phi使ったり、スペインのFPGAスピングラスシミュレータ(Janus)でも"擬似"量子コンピュータになっちゃうじゃん。
— Keisuke Fujii (@fgksk) 2015, 2月 25
いずれにせよ、古典論理演算なら従来のCPUでも実装できるので、優位性があるとするなら並列性しかない。既存の3GHzくらいの1CPUで1つ1つスピンをフリップして1モンテカルロステップするのと、このチップのそれとでどれくらい違うかのほうが重要。
— Keisuke Fujii (@fgksk) 2015, 2月 25